Knowledge Integration through Detecting Signals by Assessing/Scanning the Horizon for Innovation

Robotic Crowd/Cloud Biology Laboratory (RCBL)

生物学の実験は多数のロボットが働く実験所にお任せして、再現性の高い研究を効率よく行える日が来るかもしれません。

これは、Robotic Crowd/Cloud Biology Laboratory(RCBL)としてRobotic Biology Consortiumより提唱されたものです。東京大学先端科学技術研究センターの谷内江望准教授(合成生物学分野)の研究チーム、産業技術総合研究所、理化学研究所、ロボティック・バイオロジー・インスティテュート社ら国内外30機関の研究者及び技術者ら約60名が国際コンソーシアムとして立ち上げ、RCBLの実現に向けて活動しています1) 2)

汎用ヒト型ロボットを用いた生産性の高いクラウド実験環境

RCBLでは、実験を行うロボット(LabDroid)が多数存在するクラウド環境を用意し、複数の研究者が、LabDroidを共有しながら効率よく再現性の高い実験を行える環境を構築します。LabDroidとして想定しているのは、産業技術総合研究所創薬分子プロファイリング研究センターを中心に開発された汎用ヒト型ロボット「まほろ」です3)。人の腕の動きを精密に再現する生命科学実験用ロボットであり、ロボットによる実験作業の平準化を行います。LabDroidを増やして共有することで、実験の生産性が向上し、効率の良い運用が可能となります。RCBLの環境が整えば、各々の研究者は実験書(protocol)をRCBLに送ることで実験が効率よく行われ、他の研究者による追試も行いやすくなります。ロボットを活用することは、HIVやエボラ出血熱など、人間が心理的に扱いにくい研究を効率よく進めることも可能にします2)

研究論文の再現性の改善とLab-less Research

生物学論文の再現性はかねてより問題になっています。過去15年間の生物医学系の学術論文を抽出して調べたところ、再現性を確認するための手法が十分に書かれていないなど、ほぼすべてに欠陥があったとする分析結果報告4)もあります。これまで、実験プロセスを記述するための記法は定義されておらず、実験手順の解釈に幅が生まれていたため、実験者によって結果のばらつきが起こりえました。LabDoridとやりとりする実験書の記法が整うことでこれらの問題の改善が見込まれます。今後研究者によっては実験書のやりとりだけで研究を進めることも想定されています。(Lab-less Research)

オープンサイエンス政策ではICTの活用による新しい研究スタイルの出現も期待されており5)、RCBLの実現性可能性を含めて今後に注目が集まります。

 

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図 RCBLとLab-less Researchの概念図

(出典 参考文献1)

 

出典

1) http://www.nature.com/nbt/journal/v35/n4/full/nbt....

2) http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/research/report/201...

3) https://www.ibm.com/think/jp-ja/watson/yasukawa-el...

4) https://doi.org/10.1038/533452a

5) https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/news/open-digital-science-final-study-report

 

これまでの科学技術予測調査における関連トピック

厨房における調理業務のうち20種類以上のメニューに対応し、8割以上の作業を代替してくれるロボットが開発される(2015年第10回)

工事現場で人の代わりに働く知能ロボット(2015年第10回)

農作業を完全自動化するロボット技術​(2015年第10回)​

 


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